独身だって式がしたい!
失恋から28カ月。
というか、恋は始まってもいなかったので失ってもいない。そうすると、肘は6年強、73カ月連続独身を達成している。(籍を入れたことがないのでこの表現は的確とは言えないが)
筋金入りの独身の肘は、思うことがある。
独身だって、式がしたい!
20代後半所謂アラサーになり、知人の結婚式に呼ばれることが増えた。幸せそうな友人を見ると肘も幸せになれる。
幸せだが、しかし、肘は思うのだ。
「独身が式を挙げられないの、不公平じゃない?」
よって肘は"""独身式"""の構想を練り、実現にこぎ着けたいと思う。今回は構想を皆様に共有し、改善に向けた忌憚なきご意見を頂戴したい。
まずは参考文献を入手しよう
独身式の参考文献とは何か。
ゼクシィである。
独身式は、結婚式へのアンチテーゼだ。(ちなみに肘はアンチテーゼの意味をよくわかっていない。かっこいいから使った。)
結婚式を挙げられない、挙げる機会に恵まれない独身たる肘が、結婚式に対抗する。つまりは"""敵"""を知る必要がある。いや、別に結婚式そのものに憎しみは持ってないけど。
この記事は祝日の昼間、居酒屋でビールとチーズオムレツを頂きながら書いている。昼間から居酒屋で優勝するのは独身貴族の特権だ。肘はお貴族様としての務めを立派に果たしている。
話を戻そう。
居酒屋にいるので、まずは参考文献たるゼクシィを電子書籍で手に入れられないか考えた。
普段使っている電子書籍のサイトに、参考文献はなかった。
これは書店リアル店舗に行くしかあるまい。
肘はビールを飲み干し、書店に向かった。
そして手に入れたのがこちら。
どうにが購入したものの、購入前に心が折れかけた。
分厚い。
タウンページかよ、と思ってタウンページと比べたらより分厚い。
鈍器かよ。
書店で手にした時、あまりの重量に「こんなこともうやめようよ!」と脳内に声が響き渡りましたが、ここは"""独身式"""実現のために踏ん張りどころ。
鈍器だけあって確実に心身にダメージをくらった。
「プロポーズされたらゼクシィ」なんてキャッチフレーズを聞いたことがある。肘はプロポーズしてもされてもいないのに、ゼクシィを購入した。バグか???
いざ開いてみると、あまりの分厚さにページをめくる手が進まない。そりゃあそうだ、だって不要不急の読書。結婚、する予定、ない。
高校時代の英語の参考書のように、紙面を眺めると眠気に襲われる。
ただ、独身式実現のため。そのためにどうにかこうにか読み進めた。
独身式構想
葛藤を乗り越え"""参考文献"""を読み終えた。(かなりの流し読みだったのは否めない)
ここからは肘の独身式構想を発表する。
会場
やはり華やかな空間で式を行いたい。
しかし、独身はバージンロードを共に歩く相手はいないので、定番の教会やチャペルである必要もない。
と、考えると視覚的に美しければ何でも良い。屋外でも良い。
自然が豊かで美しい景色。
最初に青空と海を思い浮かべたが、肘にとって最も敬服すべき自然は滝だ。
滝の見える場所で独身式をしたい。
ドレスコード
華やかなドレスを着てほしいが、色は絶対に黒が良い。
黒は独身の「何にも染まらない強い意志」を表す。
独身は黒、既婚者や恋人のいる参列者は黒以外といったドレスコードでも良いかもしれない。
お食事
夫婦・カップルはよく言う。
「嬉しいことは2倍、悲しいことは半分こ。」
どういう計算だよ。
どちらも2倍、あるいは半分になるならわかる。
しかし奴らは都合良く嬉しいことを2倍、悲しいことは半分とのたまう。
そんな都合の良さはさておき。
独身は、「嬉しいことは独り占め!悲しいことも独り占め!」
つまり、強くあらねばならない。
よって独身式におけるフードは、強くなれそうなメニューにする。
選手宣誓(誓いの言葉)
独身に永遠の愛を誓う相手はいない。
独身にとっての誓いの言葉は、永遠の愛を語るものではない。
独身としての覚悟を宣誓するのだ。
「病めるときも!健やかなるときも!
一人で生き抜く覚悟を持ち!
そもそも病むことのないよう健康的な生活を心がけ事前予防に努め!
万が一病にかかった場合の行動を前もってシミュレーションしておきます!
常備薬をきちんと持ち、最寄りの病院を確認の上過ごします!」
映像コーナー
結婚式では新郎新婦の人生を振り返り、二人がどのように出会い愛を育んだか、映像が流れることが多い。
独身式においては、「なぜ現在に至るまで独身を貫いたか」を振り返る。
人生の岐路における選択肢で、「ここでこの行動をしたから独身なのでは?」というのを皆さんと振り返っていきたい。
VTRを流しつつ、人生の岐路の場面で一時停止。
選択肢ABを出し、そのとき肘がとった行動はABどちらか当てるゲームもやりたい。
各席にA・Bと書かれた札を1セットずつ配布しておく。
肘の場合、虚無ガチャ(※マッチングアプリのこと)で45連敗しているので、ネタには事欠かない。
例えば「34案件目!ご飯を食べ始めて無言になりました。この後肘は滝イキリを……A:する/B:しない。お手元の札を挙げてご回答ください!」とかやりたい。みんなAだろうけど。
入場特典(引き出物)
引き出物、すなわち入場特典も用意したい。
ゲストに笑顔で帰ってほしい思いは、新婚も独身もきっと変わらない。
結婚式における引き出物の相場は7000円程度らしい。
人気商品はカタログギフトとバウムクーヘン。
(参考文献『ゼクシィ』より)
せっかくなら独身のQOL向上に寄与するグッズにしたい。
一人でもパッと食べられるお茶漬けとか、
一人でも身体を労われるサロンパスとか、
一人もくもくできるゲーム、あつ森とか……
決まらないので独身専用ギフトカタログを作りたい。
カタログができるまではAmazonギフト券を配ります。
入場料(ご祝儀)
傾斜をかける。
独身は安く、既婚者・恋人のいる人は高めに設定する。
理由は特にない。何となく独身に優しい世界にしたいからだ。
独身式というカルチャーを作り出したい
結婚はめでたいことであり、新婚夫婦は結婚式において主役となり人々に祝われる。
しかし、独身にその機会はない。
独身だって必死に生きているのだ。何はなくとも祝われたいし、主役になる時間がほしい。
肘以外にも、こんな思いを抱えた独身はいるのではないか。
そこで肘は、独身式というカルチャーを作り出したい。
一人ひとりが主役だと胸を張って言える社会を実現したい。
……などと高尚なことは特に考えていないが、独身が独身であることを大手を振ってフルに楽しみ尽くしたい。だから肘は、独身式がしたい。
次回予告
次回!
「両親への独身式開催報告」
「式場下見」
乞うご期待!