トンネルを抜けてもそこは、新たなトンネルでしかない
2ヶ月前に、異動した。
コミュ障ゆとり新入社員(6留目)。入社からずっと営業職。数ヶ月ににわたる新入社員研修を、数百人の同期と共に受けても仲良くなれたのは片手どころか1本指に収まる稀代のコミュ障なので、営業職は全日本ミスマッチ大賞だと思っていた。営業以外の部署へ異動が決まった日の晩は、家でビール片手に狂喜乱舞したものだ。
そう、異動したのだ。営業とは全く異なる職。社内転職、ジョブチェンジ。新たな部署において、肘は生後2ヶ月。バブである。まだ言葉も話せない。喃語が限界だ。勤務時間中の肘は「あうー」しか話せない。バブだもの。
周りの大人たちはタスクだとかソリューションだとかコンプライアンスだとか、小難しいカタカナばかり話す。せめて日本語にしてくれ、と思いながら、肘が発するのは「あうー」。日本語ですらない。
新入社員6留目とはいえ、つまりは残念ながら社会人7年目。立派なアラサーである。バブとはいえ足掻かねばならない、クビにならないため、生きるために。バブが足掻いてもひっくり返って仰向けでハイハイするがごとし。ホンモノのバブ、赤ちゃんならかわいいが、アラサーのハイハイはキツい。
さて、足掻いていると、わからないことが湧いてくる。湧くのは温泉だけにしておいてほしいが、次から次へとわからないことが噴出する。もっとも、そもそも言語(念のため。英語ではない。どうやら日本語にカタカナやアルファベット略称が入り乱れている。ビジネス用語って他言語だよね〜)に追いついていないのだから、わからないこともわからない。
しかしそこは社会人7年目アラサーのバブ。わからないことをわからないままに、暗闇を手探りで歩くが如く前に進むしかない。ようやく光が見えてくるかと思えば、その先でまたわからないことが噴出する。わからないことを、わからないな〜と思いながら、わからないままに進み、わからないことに出会う。
トンネルを抜けてもそこは、新たなトンネルでしかなかった。
暗闇を抜ければまた暗闇。一寸先は闇だし一寸後も闇。
ここまでわからないことが噴出し、降り注ぎ、吹雪いているのなら、弊社はそろそろ改名した方が良い。私が名付けてあげよう。今日から弊社は株式会社WAKARANAIだよ!
株式会社WAKARANAI ワカラナイ本部 わからないグループ
わからないって、響きが稚内に似ている。雪国じゃん。ブログの上でのたうち回っていたらいつの間にかトンネルを抜けていたのかもしれない。トンネルを抜けるとそこは、雪国だった。よーし、明日はオフィスで雪だるまつくっちゃお!「雪だるまつくろう♪」と歌いながら出社すれば、そこにいるのはコミュ障ゆとり新入社員ではなくプリンセスである。ありのままで生きていこう。
などと供述していることからお察しの通り、今日も肘は元気です。